職人2.0について考える
職人2.0について考える。頭の整理。
職人の生態系に見られる変化とこれからの推移については整理しておく必要がある。
まず無視できないのは①「スマホの存在」。
ご多分に漏れずスマホは職人の生態系を大きく変えた。誰でも簡単に自分の仕事を発信できるし、お客様となり得る人たちと自由に繋がれるようになった。逆も然りで、誰でも簡単に職人を探して、職人を品定めすることができるようになった。
これによって今、腕の悪い職人が淘汰され始めている。昔は腕の良い職人を探す手段がほぼ口コミしかなかったため、腕が悪くてもなんとかどさくさに紛れることができたが、前述の理由により現代では腕の悪い職人の元には新しい仕事は舞い込んで来ない。
今抱えている取引先だって不満があればいつだって良い職人を探せる。(自戒を込めて)
さらに言うと、腕が良いだけでは世間から見つけてもらえない時代になった。口コミはとても大事だが、口コミ頼みでは、自ら自分の仕事を積極的に発信している職人には到底追いつけない。
が、この現実にモヤをかけて見えにくくしているのが②「高齢化に伴った職人の減少」。
職人が減り始めていて、それが故に仕事が確保できてしまうのもまた現実。
これが職人の格差に拍車をかけている。
仕事が確保できてしまうから気付きにくいが、発信力のある腕の良い職人は周りが気づかないうちにどんどん労働環境をアップデートしている。理由はシンプルで、仕事を選べる側に立っているからだ。
仕事を選んでスケジュールを埋めている人と、来た仕事でとりあえずスケジュールを埋めている人とでは、労働環境に雲泥の差がある。
ここで、僕が前から提唱している腕の良い職人の定義、『予算と工期を引っ張ってこれる職人』に繋がってくる。現場でクオリティを出すのはドレスコードであって、大事なのは予算と工期。ある程度のスキルを身につけた職人に何で優劣つけるかと言われたらココ。予算と工期があればより良いクオリティの仕事ができるのは言うまでもない。
じゃあどうやってこれらを引っ張ってくるかと言うと、さっきの話に戻るが仕事を選べる側になるしかない。
職人が減っているのは職人にとっては良いことだ、と簡単に片付けてしまうのは少し違うと思っていて、このような環境要素があることは頭に入れておいた方が良い。
最後、③「チームを持つのが難しくなってきている」。
それなりに仕事を覚えたバイタリティある若い職人は組織に属さず、1人で仕事をすることがスタンダードになるだろう。
一方、職人不足を危惧した資本力のある会社が職人を高い給料でかき集める未来も予測できる。
この2つの理由で、親方が何人かの若い衆を連れ歩くという昔ながらの構図が成り立たない環境になるだろう。というかなり始めている。
この先チームを持つのが難しくなっていく中で、1人でもやっていけるように準備するのはマスト。1人でもやっていけるという自信と安心が担保となり、次のステップへ進むための挑戦の糧になるだろう。
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